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第3回研究科ライフサイエンスセミナーを開催しました。

2009/05/28

The 3rd Life Science Seminar in Yamaguchi
"ストレス応答:生体の恒常性維持の機構"


 平成21年5月26日、医学系研究科主催の上記セミナーを医学部霜仁会館にて開催いたしました。今回は、細胞の構成成分の恒常性維持の基本的なしくみ(素過程)から研究を進め、そこから生命現象を理解しようとする研究者の先生方に講演をお願いしました。今回は、重金属の鉄、酸素、脂質、そしてタンパク質を取り上げてみました。細胞は、構成成分の量や質を安定化するためのしくみが存在し、それに対応する機構がストレス応答です。その応答を凌駕する異常によって細胞機能が保たれなくなり疾病が起こります。今回の4名の講演から、この一連の流れがよく理解できます。
 特別講演は、大阪大学大学院医学系研究科の岩井一宏先生に「細胞の鉄代謝におけるミトコンドリアの重要性」のお話をしていただきました。鉄の量を調節するしくみは、主に翻訳レベルで行われており、そのしくみは翻訳制御のモデルとして教科書でも詳細な記載があります。岩井先生はこの鉄の量を感知するセンサーがミトコンドリアにあることを明らかにしました。また、マウスの神経細胞でその恒常性がわずかに破綻するだけでもパーキンソン病様の病態を導くことを見いだし、細胞変性疾患との関連があることを示されました。我々の体に鉄が非常に重要であるとともに、一方でその恒常性の破綻は細胞にとって有害であることを大変分かりやすく説明していただきました。山口大学医学系研究から、池田栄二先生が酸素、徳田信子先生が脂質、林田直樹がタンパク質の恒常性の粗過程に関わる分子群を明らかにし、やはり精神疾患や神経変性疾患との関連を明確に示されました。
 細胞構成する成分の恒常性維持システムはそれぞれ独特な点もあり、一方で共通な点もあります。あるものは互いにリンクしており、ネットワークを形成しております。それぞれのシステムの研究者が集まり議論することで、細胞や個体レベルの統合的な理解が深まることを感じさせるセミナーでした。(主催者)


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